二条 硝華

にじょう しょうか

【名前】二条 硝華 ( にじょう しょうか )
【性別】女性
【年齢 / 学年】21歳 / 鷹司大学三年 法学部

【概要】
多くの政治家・要人を排出する〝 二条家 〟の跡継ぎにして一人娘。
都内の私立大学に通っており、学内外・男女問わず『 高嶺の花 』と名が通るほどの美形。
何でも出来る天才肌に加え生粋の完璧主義者でもあり、その上品かつ尊大な物言いや振る舞いは、まさしく薔薇のようだ。

『 ある極道一家と何か関係があるのではないか 』と、学生同士が噂しているようだが────?



「 二条硝華よ。……あら、名前を呼んでいいと言った覚えはないわ。あくまで私たちは他人ですもの、距離感を弁えてくださるかしら? 」

「────お飾りはね、そこにただ在るだけで価値のあるものなの。飾り物自体が、自分を〝 装飾品である 〟と理解していれば……の話だけれど。」

詳細

【容姿】
身長は160センチ。
傷一つない新雪の白肌、肉付きの良い女性的な身体。
日焼けや怪我など自己管理を怠れば「 跡継ぎとしての自覚を 」とこっぴどく折檻を受けるため、本人の努力ではなく義務感によって保たれている。それでも、理想の女性を縮図にしたような身体付きは、否応なく男たちの欲を煽るだろう。

癖や乱れが一切無い艶やかな濡羽の髪は、胸下まで伸ばされたストレートヘア。ヘアアレンジは日によって変わるが、髪を纏めるアクセサリーには赤いリボンを選ぶことが多い。
爛と鈍く光る紅の瞳。炎のように揺らめき、しかし血のようにどす黒い。常に敵を見据えるかのごとく鋭い意志を湛えており、彼女の容姿を近寄りがたいものにしている一因だ。

普段の服装は上品なブラウスやスカートがほとんど。
購入するブランドもほぼ固定で、身に纏う服に始まり鞄や化粧品に至るまで、そのどれもが海外でも名の通った高級店ばかりである。
実際のところ、本人は「着られれば何でも良い」とすら思っているが、家柄がそれを許さないだろう。



彼女はとにかくずば抜けた美形であり、初対面で相対した者が気圧されて声が出なくなってしまった、講義中の教授がプレッシャーに耐え兼ねて休職してしまったなど、二条硝華のビジュアルにまつわる噂話は多岐に渡る。
……ただし、そんな噂話のおおよそは本当にあったことであるが。



【性格】

冷静沈着を絵に描いたような面持ちの女性。
優雅な身のこなしや辛辣ながらも上品な口調は、幼い頃から良家の子女、そして将来的に家を継ぐ者として厳しく教育され身に付いたもの。その学力は全国模試で一桁台常連のレベルであり、若干21歳にして取引・事業の一部を担当するなど、跡継ぎとしても優秀。

どんな立場・年齢の相手にも知識や思慮で劣ることはなく、仕事先、社交などでは『令嬢のお手本だ』と称される。笑顔はあまり見せることはないが、それでも柔らかい表情や雰囲気は『可憐』と言い表すに相応しい。
────そんな仮面を被り、演じている。

あらゆる面で優秀なのは、彼女に才能があり、なおかつ重度の完璧主義だからだろう。
誰かに負けることを良しとせず、馬鹿にされることを良しとせず、侮られたと思ったらきっちりやり返す。その繰り返しで今の優秀さは培われている。


思慮深く穏やかではあるがやや皮肉屋気味だったり、意外なほど負けず嫌いでプライドが高かったり、虫が苦手だったり、甘い物に目が無かったり、その内面は非常に人間的。
冷徹にすら見られることもあるが、実際は激情家。幼少時から意識して感情を沈めているためその面影もないが、例えば心から愛する者や懐に入れた信頼できる者には、まるで炎のような愛情を向けるはずだ。

人間のすべてを嫌っていながら、一度身内に引き入れた者に対しては大変甘く、少しの侮辱は許容するようになる。その分身内にだけは子供っぽい年相応の顔を見せることもあり、普段とのギャップに驚くものも少なくはない。

「 私 」「 貴方 」「 ( 苗字 ) さん 」
二条家 表

二条は、一条を総本家とした一族のひとつであり二番目に権力を持つ家系だ。


主に政治の方面を担当しており、一世代前の当主は外務大臣、今代当主は国会議員を長く務めている。
更に代々『 二条商事 』の経営も並行。財閥解体時からある歴史のある会社で、今では輸出入全般を代表として、天然ガス・デジタル産業・自動車・産業インフラ……など、多くの部門を持つ大手商社である。

十五年前、一族の末端であった四条家を吸収・合併。四条家が執り行っていた金融業、不動産業も担当することになり、今となっては街中や店で名前を見ない日はない程だ。


現当主は 二条 隆源。奥方は病弱で表に顔を出すことない。跡継ぎには大学生である一人娘の名を挙げており、社交の場や仕事に連れ添うことも。
二条家 裏



二条硝華は、当主の実の娘ではない。



四条家の第一子として産まれた彼女は幼少時から美しく、頭の発達もはやかったため、子に恵まれなかった二条隆源は『 二条の跡継ぎとして渡せ 』と四条に命令する。
一族として、位の高い家の命令には従わなければならない。しかし四条はその命を拒んだ。

二条の圧力によって、経営していた会社も業績不振で倒産寸前になるも、娘を渡すことだけはしないと海外逃亡を決意。
しかし空港への道のりで、何者かに襲われ硝華以外の全員( 母、父、息子 )が死亡。

その後、硝華は〝 初めから二条の一人娘だった 〟と書類を書き換えられ、四条家は『 経営難に耐え兼ね一家心中 』と報じられた。




二条隆源は当時六歳だった硝華を跡継ぎと定め、厳しい教育と食べる物からすることまで徹底的な管理下においた。部屋の中ですら彼女は使用人に監視され、自由な時間など何処にもなかった。

その美しさが利益となることに気付いた隆源は、国内での地位を堅実にするために硝華を道具として使い始める。

────率直に言えば、自分に取り入ってきた相手に娘の身体を与え始めた。

相手の弱みを握り、更に未成年の少女に手を出したという証拠を握り裏切れなくさせる。そうして利益だけを吸い出し、彼の会社は大きくなっていった。


最後に彼が目をつけたのは、いわゆる裏社会。極道やヤクザ。
地域に根ざす組や金融組織とも取引をし、利益を得る。取引の大体は娘に任せ、自分が危ない橋を渡ることは無い。



総本家である一条家は、二条隆源のやり方を全て把握し、しかし『 一族が発展するならば問題はない 』と黙認している。
物語

幼少期 / 

二条硝華は、自らの家族を殺したのが二条家の雇った人間であったと気付いている。

だが同時に聡い彼女は、僅か六歳にして『 声を荒げてそれを糾弾したところで意味が無い 』『 権力で握りつぶされて終わりだ 』ということも理解していた。
もう顔も曖昧な両親を、生まれたばかりの弟を殺した義父に深い深い憎しみを抱いているが、上記の理由から表立って何かをすることはなかった。


少女期 / 

幼稚園、初等部、中等部と、エスカレーター式の私立学園に在学。
表向きはキリスト教に基づいた、ミッションスクールであるとされているが、内部は寄付量によって生徒間に格差を付けるような場所。
硝華は『 病弱のため』という嘘の理由によって学校を休み、社交の場や取引に連れていかれることが多かった。学校とは別に家庭教師も付けられていたようだ。


十六歳 /

高校は義父に頭を下げ、都内の私立進学校に。
ミッションスクールの雰囲気に馴染めなかったことが主な原因だったが、教師から生徒までに見張られる生活から脱却するためでもあった。
進学先は歴史は浅いが実績のある学園で、学業のレベルが高いこと・全国模試でトップクラスの成績を維持することとを挙げ、どうにか義父の許可を取る。


厳しい生活の中でも優秀すぎる結果を残してきた硝華だったが、高校に入学したばかりの五月。義父により、政治取引の道具として身体を使われる。
……思い出したくもない記憶だ。



そんな頃だ、義父の取引相手である極道組織の若頭に出会ったのは。
白鐘組の若頭、白鐘玄冬。
彼は硝華の抱いた憎しみが、未だ燻っていることを見抜き〝 取引 〟を持ちかけてきた。

『──────お前の復讐を、俺が手伝ってやろうか。』

以来、白鐘玄冬と共犯として学生生活を送りながら、復讐の仕方を模索していく。
それは二条硝華の人生にとって、間違いなく、もっとも楽しい時期だっただろう。


高校卒業後 /

硝華が進学先に選んだのは、都内でも有数の名門、鷹司大学。
文系科から理系科まで数多くの学科を揃えており、キャンパスは三県六箇所。敷地面積は一キャンパスにつき約十三万平方メートルのマンモス校。

ほぼ欠席もせず、単位を取っていなくとも気になる授業があれば通っているようで、そこそこに楽しく学生生活を送っている。実家の屋敷からも出て、今は二条家管理の高層マンションで一人暮らし中。

白鐘との取引関係も健在で、彼らに関しては義父が口を出せないのを良いことに組に入り浸っていたりもする。


「復讐────ね、えぇ、憎しみは消えていない。ただ、復讐するにしたってやり方ってものがあるでしょう? 」
「 全部バラして台無しにするのは簡単だわ、もちろん殺すのもね。でも、それじゃあすっきりしないじゃない……〝 面白くない 〟じゃない。」

「 今まで築き上げてきたものを全部全部奪ってやりたいの、私のものにしてやりたい。けど、普通じゃだめね。人生における幸福の絶頂で突き落として、そうしたらきっと────」



「 ─────────私、世界一綺麗に笑えると思うわ。」





────────────────→  現 在 へ
関係性

・一条 霞月 ( いちじょう かづき )
/ 親戚。
一条の長子でありながら生涯を病院内で過ごした霞月と硝華は、交友を持ったことはほとんど無い。見舞いに数度行ったきりだ。

ただし、彼女らの容姿はあまりにも〝 うりふたつ 〟で、比較されることもあった。見分けがつかないほど似通っているのは、本人たちからしてみれば気持ち悪さすら覚えるだろうが。

自身と同じく令嬢でありながら、誰よりも自由に生きた彼女のことを、硝華はどこか羨ましく思っている。



・一条 花霞 ( いちじょう かすみ )
/ 親戚。
四歳年上の彼のことを、二条硝華はやや苦手としている。

彼が実の姉に執着しているのだと気付いたのは、姉である霞月が死んだ後だった。
霞月がいなくなってから、花霞が硝華を見る目は明らかに変わっていた。一条の後継として普段は冷徹な言葉をかけるのに、ある時はいきなり歪な愛情を注ぎ出す。
時折り自宅へ贈られてくる服やアクセサリー、スイーツなどを前に、硝華はどうしようかと頭を抱えた。

「 …………花霞さんは、そうね、出来ればあまり近寄りたくはない……わね。何を考えているか分からない人が、一番厄介なのよ。」

「 ……………………………あと、玄冬さんと相性が最悪だわ。もし出会ったら殺し合いになりそうだもの。」



・三条 鮮花 ( さんじょう あざか )
/ 従兄弟。
まるで犬みたいに慕ってくる二歳下の彼は、硝華にとって弟のようなものだった。

義父の弟の息子である三条鮮花とは硝華が中学に上がった頃からの付き合いだ。周りの風潮や一族の上下関係を気にしない鮮花にいつしか気を許し始め、今では弟のように扱っている。
( LINEひとつで駆けつけてくるため、主に移動の足として使用している。)

彼が自分を追って同じ高校、更には同じ大学の英米文学科を専攻したと聞いた時は、正直なところ頭を抱えたものだが……。

「 モデルに俳優に楽曲制作、挙句の果てに大学までだなんて。……鮮花、あの子いつか過労死するんじゃないかしら? 」



・白鐘 玄冬 ( しろがね くろと ) 
/ 共犯者。
義父の取引相手である白鐘組の若頭。高校時代の同級生であり、早六年近い付き合い。

硝華が一番油断し、笑ったり甘えたり、らしくない我儘を言える唯一の相手。彼に対しては自慢の冷静さもどこかへ行ってしまう。
その好意は異性愛を通り越し既に家族愛の域で、例え身体を重ねようとも色恋に発展することはまずない────と思われる。

白鐘組の書類仕事に追われる玄冬や側近の八重島を見兼ねて、軽い書類仕事なども手伝うように。ご令嬢であり若頭の客人をどう扱うべきか困り果てていた若い衆も、最近では普通に話せるくらいになったようだ。

「 玄冬さん。私、ロールケーキが食べたいわ。フルーツが入ってるやつ。でも桃は黄桃だけがいい。あと紅茶、アールグレイ。」

「 私を、一番理解しているのはあの人だわ。私の憎悪も、弱さも、甘えも、全部見ているのはあの人だけ。その癖に、自分のことはあまり教えてくれないの。狡い人でしょう?嫌になるわね。」



・白鐘 紅葉 ( しろがね もみじ )
/ おともだち。
白鐘玄冬の弟であり更に鮮花と同級生である紅葉とは、共にご飯やスイーツを食べに行く仲だ。

甘え上手な彼を知らず知らずに甘やかしていることに、硝華は未だ気づいていない。

「 紅葉? ちょうど明日、ホテルのアフタヌーンティーに行く予定があるけれど…………えぇ、スコーンが美味しいんですって。」



・赤宮 響介 ( あかみや きょうすけ )
/ 知人。
白鐘組によく出入りしている彼と硝華の仲は悪くはない────と思われる。が、ばったり会えば歯に衣着せぬ物言いでの煽りあいが始まる始末で、お互いがお互いを信用してはいないのではないだろうか?

稀に夜の繁華街で待ち合わせていたり、いなかったりする。

「…………………………あんな人でなしのことを、私に聞かないでちょうだい。赤宮さんが今どこで何をしてるのかとか、何を考えているのかとか……そんなこと覚えるくらいなら、メルセンヌ素数でも考えていた方が有意義よ。」