「待つ宵」来るはずの人を待つ、夜がきて間もない頃のこと。
光の当たる場所で生きれない男〝 八重真遠 〟が、年の暮れに愛人に会いに行った病院で、今までに見聞きしたあらゆるものより美しい女〝 一条霞月 〟と出会ってしまう話。「白い部屋、白い服、白い肌に覆われた中で目を惹く唇の、なんと赤くおそろしいことか。彼女の爛々と輝く眼差しも、いっそ霞んでしまうくらいに」「────その女はまるで、少女性の化身のようだった」